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シリーズ・続・伊坂作品をよむ

シリーズ化してないですけどね。

ラッシュライフ (新潮文庫)

ラッシュライフ (新潮文庫)

ラッシュライフ」読み終えました。
伊坂作品らしくシーンの切り替えまで読んで
そっからまた続きを読む、という
空き時間に読む本としては優秀なスタイルなんですけど
いやまぁ登場人物が多いのでね、最初は苦労しました。
でもまたそういうのがほら、空腹は最高のスパイスだと言わんばかりの
最初の読みにくさがまた中盤、終盤にかけてたたみかける感じが
また伊坂さんらしい魅力なんですよね。
いやでも結構登場人物が多い。名字がごちゃごちゃになりかける。
比較的最近の作品はそうでもないっちゅうか
複雑に絡ませつつもシンプルに読ませる感じが読者にやさしい気がするんですが
ラッシュライフ」は伊坂さんの作品ではデビュー2作目なんで
そのへんがまたその当時の若さが出ているのかなぁと思ったり。
時間軸もやっぱ最近の作品の方が読みやすいと思う。
と、ざっくり読後の感じを述べたあとで
ちょこっとこの作品の好きなところを。

時間の軸があとになって交差したりしなかったり
それぞれのエピソードの時間軸が整理しにくいのが南天のど飴…難点ですけども。
「拳銃と犬」の豊田さんのエピソードはすごく伊坂さんらしいというか
男性の描くハッピーなスタイルの典型のような感じがしますねぇ。
あと泥棒の黒澤さんと佐々岡さんの家でのエピソード。
あれもまた男性特有の描写だと思う。
海外の映画のようなミラクルやスマートさがカッコイイ、みたいな。
私はそういう感じがなんか女性として「かっこよすぎるやん!」みたいに思うけど
そこがまた憎めなくって良いんですよね。
あと伊坂さんの描く悪役「銀行強盗」「泥棒」「殺し屋」は
どこか憎めない…というより知性も運もあってスマートで
分かりやすく言えばルパン三世のルパン・次元・五右衛門みたいな部分があって
「悪」が本当の悪ではない描写が多い。ホントに多い。
そういう部分がまたアニメ・マンガに親しんでいる世代にウケるんですかね。
あ、また伊坂作品の言及になってきた。
ところで青山さんは何なのでしょう。
結局京子を出し抜いて嫁と裏で組んでいたわけですが…
精神科医の京子をいとも簡単に騙せるタマなのか、と。
サッカー選手で自分の試合中のミスで精神的にまいるような男なのに?
嫁がまたそういうところに頭が回って今回のシナリオを書くタイプではなさそうだし
気が動転していたとはいえ、カウンセリング専門医をそんなにうまく出しぬけるのか、と。
うーん。そこだけ気になる。